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ロシア人捕虜の「赤かぶら」 「ビーツ」復活へ栽培 /兵庫

 
 姫路本町68番地事業協同組合、NPO法人姫路タウンマネージメント協会の田中達郎理事長
 
 姫路俘虜収容所紀念写真帖に残されたロシア人捕虜らの写真。買い物途中とみられる=北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター所蔵
 
 「捕虜の蒔(ま)いた、(赤)かぶらの花は三・四年ちょろちょろ咲いたが、もう消えてしもうて咲かん」−−。約110年前の日露戦争中(1904〜05年)、姫路市にロシア兵捕虜がいた。市教委によると、約2200人にも及ぶ。市川の河原でビーツとみられる「赤かぶら」を栽培したという口伝もある。この話を元に、「赤かぶらを特産品にしよう」と考えた市民らがビーツを栽培し、商品開発や普及に取り組みはじめた。【幸長由子】
 

1904年、姫路市に国内で3番目のロシア兵俘虜(ふりょ)収容所が設置された。姫路市教委によると、旧陸軍の施設だけでなく播磨国総社や姫路船場別院本徳寺(船場御坊)など10カ所が収容所となった。旧軍は捕虜を人道的に扱う国際法に基づき、外出も許可。北海道大が所蔵する当時の写真には、姫路の商店で買い物したり、川で泳ぎ、観劇するロシア兵の姿が残されている。

 ■忘れ去られていた話に光が

 冒頭の「かぶら」の逸話は、三木治子さん(故人)が当時の様子を聞き書きした「捕虜たちの赤かぶら」(1985年)にある。播州弁で語られるこの本は、捕虜たちを姫路の人々が興味津々に見つめる様子や交流を描いた。赤かぶらについては「水をやるやら、草をひくやら『あない覗(のぞ)いたら伸びる芽も伸びん』と思う程の力の入れようやった」と描かれている。

 出版から30年以上が過ぎ、忘れられていたこの本を、元姫路市助役で姫路本町68番地事業協同組合、NPO法人姫路タウンマネージメント協会の田中達郎理事長が注目し、「世界遺産の姫路城に大勢の観光客が訪れる今こそ、赤かぶらを姫路ならではの特産品に育て上げられる」と考えた。

 田中さんらは「赤かぶら」と書かれている野菜をビーツのことだと考えた。ビーツはロシアの代表的な料理「ボルシチ」に欠かせないからだ。ビーツはかぶらに似ているが、ほうれん草と同じアカザ科。ミネラル豊富な健康食品とされる。

 昨年11月に「姫路ビーツプロジェクト」が始まり、ロシア語を勉強する女性やベトナム人の女性、退職後の人生を模索する男性などが田中さんの周りに集まった。今春から栽培を開始。6月の初収穫では予想以上の約3トンにものぼった。

 ■オリジナル料理や紙芝居でビーツを普及

 栽培と同時に進めているのが国際交流とメニュー開発。7月初旬、収穫したてのビーツを使い「収穫祭」と題した料理教室が行われた。講師は大阪府吹田市在住のロシア人料理研究家、ブヤコフ・ビクトリアさん(48)。「ロシアでは、スープは食べるもの。具がたくさんです」と説明しながら、冷たい夏用のボルシチ、お正月に食べるサラダなど4種類を作った。「子の離乳食に栄養たっぷりビーツを使いたい」という主婦や「ロシアが好き」という会社員らが参加した。

 ロシア料理以外にもちらし寿司(ずし)やそば、カップケーキなど姫路独自のビーツ料理作りにも取り組む。メンバーの会社員、濱村晴美さんは「ビーツはピンク色が鮮やか。味が強くないので、アレンジがしやすい」という。

 収穫祭では、「捕虜たちの赤かぶら」の紙芝居も披露された。明石市で家具の作図を行う山崎美紀さん(46)が作画。当時の姫路の捕虜収容所の写真を参考に、水彩絵の具と色鉛筆の淡いタッチで描いた。山崎さんは「物語には、国の戦いを超えた人々の交流が描かれる。ビーツと共に物語を知ってもらい、当時の雰囲気を感じてほしい」と期待する。

 9月末から栽培面積を拡大し、種をまく。次回収穫分を使って、ビーツをスープにした缶詰を作り、ビーツとともに販売する計画もある。「歴史や栄養学、商品開発など切り口はさまざま。ビーツが触媒となって、多種多様な人が集まり、活動できるのがこのプロジェクトのおもしろさだ」と専務理事の寺前高明さん(59)。姫路の「赤かぶら」復活の物語は始まったばかりだ。

 

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収穫したビーツを手にする参加者=兵庫県姫路市船津町で、幸長由子撮影

 

 
 
 
 
 
 
 
 日露戦争 ロシア人捕虜 姫路収容      
 日露戦争のロシア人捕虜    姫路ビーツ捕虜たちの赤かぶら  
姫路俘虜収容所紀念写真・その1 
姫路俘虜収容所紀念写真・その2 
 
     
 
 
 
 
 
 

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〒670-0012兵庫県姫路市本町68番地 tel:079-281-6385